弓で演奏するならば、K1。
弓で演奏することが多いのであれば、『K4』よりも『K1』の方が扱いやすいような気がする。
Wilsonピックアップの話。
物理的に考えると、弦からピックアップの距離が遠い方が高い周波数帯の音は減衰して届くので、弓で演奏した時の高い倍音成分が抑制されて集音される。
『K4』のサウンドの精密さは魅力的ではありますが、『K4』は各弦の一つ一つのサウンドを的確に集音しますが、『K1』は各弦の一つ一つのサウンドと、その他の弦の共振の響きも集音できる。
だから『K1』は単純に『K4』の廉価版と考えるよりも、演奏者の目的に合わせて『K1』または『K4』と選ぶ方が良さそうです。
さて、『K1』を取り付けてみました。(写真1枚目)
Wilsonに限らず、全てのピックアップに言えることですが、ピックアップを取り付ける際に、駒の振動の経路を正確に読み解くことが必要です。
今回は、駒の足の部分に取り付けます。
駒は弦からの圧力で、駒の足の内側に大きな力がかかり、振動の伝達を阻害しています。(写真2枚目)
そのため振動は、圧力の少ない足の外側を通って表板へ到達するので、足の外側に近い部分に、ピックアップを取り付けます。
この取り付け位置は、Realist(リアリスト)の『Sound Clip』というピックアップを取り付ける際にも、応用できます。
弦の振動が駒を通って表板に到達する時、振動の量は1(G)弦よりも圧倒的に4(E)弦に多く流れ込みます。(写真3枚目)
そのため、4(E)弦側の足にピックアップを取り付けます。
1弦から距離が離れすぎると、1弦のサウンドが痩せてしまう。
4弦に近すぎると、4弦の低音ばかりが強調されてしまう。
そう考えると『4弦側の足の股の付根の少し下あたり』が経験上、一番良さそうでした。
取り付けて試奏してみました。
うん、うまく狙った通りのサウンドが得られています。
指で鳴らした時(ピチカート)と弓で演奏した時(アルコ)の音質の差が少なく、音量的にもバランスが良いです。
やはり『K1』というピックアップは、『K4』の廉価版というこでは全くなく、積極的に選択肢の一つとして認めて良いものだと感じました。
個人的な感想としては、プリアンプなどのエフェクターを使用したときの反応も良く、『非常に扱いやすい音色だ』といったところです。